広島の地価 底は見えないのか(その2) 

 ■商業地 ;

〔準高度商業地域〕 :

 中心市街地高度商業地以外の商業地域は,金融機関 をはじめとする民間,公共団体などの企業・団体・組織の統廃合やスリム化が一巡し,それに伴うテナント も様々な業種による選手交代が見られ,ひところ言われていたビルなどの空室増や賃料の下落も解消されつ つあり,市街地の様相や変化し,店舗,事務所を中心とする賃貸市場の活性化が図られている。

市場の参加 者は多様である。 基準階の賃料水準は,月2500-6000円/㎡程度と 多様であり,最近はほぼ落ち着いている。

〔広島駅周辺〕 :

JR広島駅はターミナル機能を備え,広島の表玄関 に当たるが,南口,北口共に再開発や市街地整備に遅れが目立ち,駅前としての顔が見えず,都市の重さも 伝わってこない。首都東京についで国際平和都市として名前が知られている広島の玄関口としてふさわしい整備が望まれる。

今後どのように変貌するのか楽しみであり,計画の 如何は別にして,この地域一体は,広島でも投資対象の高い地域の一つである。 地価は,なお下落基調である。都市再生緊急整備地域(「広島駅南口」, 「広島駅北口」及び「貨物ヤード 跡地」)に指定されているが,土地取引は散見される程度であり,今後の動向の模様眺めの様相が強いが, 水面下での動きは相当進展しているようである。基準階の賃料水準は,月1500-3000円/rri程度と, 地域の実態を反映して流動的である。.

〔盛り場,繁華街〕 :

広島の代表的な繁華街は涜川,薬研掘,堀川が中心 であるが,景気低迷以降,客の足が遠のき,老舗の撤退もある中,警察・商店街の協調体制による環境整備 の進展と商売の活性化を図るための手段を試行している。

周辺同業者と商売のしのぎをけずるなか,多様な時 代の流れを反映して各種娯楽飲食施設を完備している周辺大型SCとの競争にもさらされるなど厳しい商売環境にあり,春が来るのはまだ先のことと予測する。

不動産の需要は少なく,売買されるのは特殊事情のある市場の半値以下の物件が多く,専門業者がリニューアル・活性化を図り, ・飲食店ビルとして成功している例もあるようである。 地価の動向は,業界の動向を反映してなお下落基調であるが,業種・業態によっては幾分明るさを取り戻 している。 基準階の賃料水準は,月1500-3000円/㎡程度で, 下落傾向にある。

〔周辺商業地域〕:

周辺商業地域は規模の大小を問わず消費の低迷,商売不振,業務跡継ぎ不在,大型店舗の進出により既存店舗・商店街の空洞化などが目立ち,周辺の商業地や近隣商業地をはじめ幹線街路沿線での空地化やマンション化あるいは駐車場化が進展している。

とくに青空 駐車場が多く目立ち,都市の景観を変えつつあり,都 市の空洞化を如実に示している。活性化を図るために, 青空駐車場の有効活用の手立てを考える必要があるこ とを痛切に感じさせる。基準階の賃料水準は,月1500-2000円/㎡程度で, やや下落傾向にある。

■住宅地 :

〔平坦部住宅地域〕 

平地の住宅市街地の地価は, ㎡当たり10万-30万円 程度とバブル発生前の水準にもどり,年平均で5- 8 %程度の下落率も縮小している。 小規模画地の更地化と青空駐車場利用が目立つ中, マンション開発を中心に不動産市場が形成されており, 地域的な差異があるとはいえ,土地価格は,歯止めがかかりつつある。 基準階の賃料水準は,月1000-2000円/㎡程度で, ほぼ落ち着いている。

〔丘陵地住宅地域〕 :

平坦部市街地の周辺に立地する丘陵地の住宅地価格は,低層の戸建て住宅が中心で,地価公示標準地価格ベースでHi当たり6万-15万円程度の水準にあり、,下落に歯止めがかかっている。

しかしつぎの諸点から, なお下落基調で推移する地域があることも否めない。 

①新旧の住宅団地間に価格開差が発生し,二重価格と なっている地域。
②既存の古くて,交通接近条件が劣り,道路幅員が4 m前後の住宅団地。
③価格下落の極端な大規模団地の影響を受ける住宅地。
④老齢化居住者の都心などへの移住により空洞化が進展している地域。

 水は高きから低きに流れるたとえのとおり,土地価格も低い方へと誘引され,たとえ住環境が良くても価格下落に歯止めがかかりにくく,価格競争の激しい昨 今の住宅市場では草刈場的なターゲットにされやすく, いくつかの住宅団地などが指摘されている。

基準階の賃料水準は,月1000円/㎡程度前後と落 ち着いている(次貢囲.広島都市圏の主要団地参照)。